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被害者のための刑事手続Q&A

自動車事故により他人を死傷させたものは従来、業務上過失致死傷罪(但し、危険運転致死傷罪に該当しないもの)が適用されていました。しかし、平成19年6月12日以降に発生した事故については「自動車運転過失致死傷罪」が適用されることになります。
業務上過失致死罪は「5年以下の懲役、禁固または100万円以下の罰金」でしたが、自動車運転過失致死傷罪は「7年以下の懲役、禁固または100万円以下の罰金」と刑が引き上げられました。

なお、更に法改正があり、平成26年5月20日施行の「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(新法)により、事故発生日により適用される法律が異なることになりました。一般的な人身事故(自動車事故)の適用法律、罪名は以下の通りです。
平成19年6月12日より前の事故・・・業務上過失致死傷罪(刑法)
平成19年6月12日〜平成26年5月19日の事故・・・自動車運転過失致死傷罪(刑法)
平成26年5月20日以降の事故・・・過失運転致死傷罪(新法)

なお、新法の解説はこちらです。

1 警察で「加害者に寛大な刑を望む」と言いましたが、気が変わりました。どうしたら良いでしょうか。
2 上申書に書式はありますか。また、どこに提出するのですか。
3 公判での遺族の陳述はどのようにして行われるのですか。
4 判決で加害者が執行猶予となりました。被害者は控訴できますか。
5 加害者から見舞金が送られてきました。どうしたら良いでしょうか。
6 加害者が不起訴になってしまいました。どのようにしたら良いでしょうか。
7 被害者が刑事の弁護士をつけると言うことはあるでしょうか。
8 警察官の職務につき、不満があるのですが、どうしたら良いでしょうか。
9 事故で怪我をしましたが、警察に告訴することは必要なのでしょうか。 
10 物損事故にあいましたが、加害者に誠意が無いので処罰したいと思いますが。
11 刑事裁判が進行中ですが、損保から示談交渉をしたいと言ってきています。どうしたら良いでしょうか。
12 刑事の公判期日について連絡がありました。被害者としては何をすれば良いでしょうか。

13 歩行中、自転車が衝突し、怪我をしました。警察から告訴をしますかと言われましたがこれはどのような意味があるのでしょうか。
14 血中アルコール濃度と呼気中アルコール濃度の関係。ひき逃げをして1時間30分後にひき逃げ犯が逮捕され、その際の呼気中アルコール濃度が0.4mg/lであった場合、事故時の血中アルコール濃度はどの程度でしょうか。
15 刑事記録はどのようにして入手するのでしょうか
16  現在、刑事裁判中ですが、示談交渉を拒否したところ、加害者から債務額確定の調停を申し立てられました。どのように対処したら良いでしょうか。
17  死亡事故の遺族ですが、意見陳述で加害者は飲酒していた可能性があると陳述したところ、裁判官から「それは争点になっていない」と言う理由で陳述を制限されました。これはどのようなことなのでしょうか。
18 起訴前なのに加害者に国選弁護人から示談の申し入れがありました。起訴される前にも国選弁護人が加害者につくことはあるのでしょうか。


1  警察で「加害者に寛大な刑を望む」と言いましたが、気が変わりました。どうしたら良いでしょうか。

<回答>

気が変わった理由を書いた上申書を出します。上申書は警察、検察に被害者の意思を伝える手段です。上申書を利用する例は以下の通りです。
・事故状況につき加害者と言い分が食い違っているのでもっと捜査して欲しい場合
・被害者が入院していたため被害者抜きで実況見分がされてしまったので、被害者の立会いにもとにもう一度、実況見分をして欲しい場合
・被害者の被害感情を伝えたい場合
等々であり内容に制限はありません。

 

2  上申書に書式はありますか、また、どこに提出するのですか。

<回答>

上申書に書式はありません。しかし、あて先、自分の署名・捺印、日付、事件の特定は必要でしょう。
提出先は警察が捜査をしている段階では警察、送致されて検察庁が捜査している段階では検察庁です。送致されていて、担当検察官の名前が分かっているならば、その検察官宛にした方が良いでしょうか。
※上申書の例

 

3  公判での遺族の意見陳述はどのようにして行われるのですか。

<回答>

書面を作成し、それを読み上げると言う方法がとられます。意見陳述をしたい場合は、予め検察官に言っておく必要があります。
重複を避け、分かりやすく、裁判官よりも加害者に聞かせるつもりで作成すべきです。

 

4  判決で加害者が執行猶予となりました。被害者は控訴できますか。

<回答>

できません。量刑が軽いと言うことで控訴できるのは検察官です。従って、控訴の意思を示すために検察官に上申書を出すと言う方法が考えられます。
また、被害者が控訴できないことから、略式命令(罰金)が下されても、これに対して、被害者は控訴できないと言うことになります。

 

5  加害者から見舞金が送られてきました。どうしたら良いでしょうか。

<回答>

見舞金を被害者が受け取った場合、量刑が軽くなる可能性があります。従って、受け取るか受け取らないかは量刑が軽くなっても良いか否かと言う観点から考える必要があります。厳罰に処して欲しいと言う場合は受け取ってはいけません。送られてきたならば、すぐに返却するべきです。また、入金されないように銀行口座は教えはいけません。

 

6  加害者が不起訴になってしまいました。どのようにしたら良いでしょうか。

<回答>

検察審査会に不服申し立てをします。検察審査会がどこにあるかは検察庁に聞けば分かります。不服申し立てのための所定の用紙がありますから、それを利用するのが良いでしょうか。なお、不起訴になった場合はまず実況見分調書を入手することが必要です。警察がどのような捜査をしたか、どのような理由で検察官が不起訴としたかを知るためです。この点が分からないと、どの点に不服があるかも書けないことになります。
また、あらたな事実がありましたら(例えば、後遺症が残存した、予想外に治療が続いている等)、その証拠を提出すべきです。

審査申立書(A3版で印刷して使えます)
「検察審査会御中」となっているところを該当する審査会名を記入してください。
「被疑事実の要旨」は何時、何処で誰が誰に対して何をしたかのみ簡潔に記載してください。
「不起訴処分を不当とする理由」についてはここがメインですので、「別紙の通り」と記載するだけで、別紙で理由を詳細に記載してください。
記載上の説明等

申立書を記載する上での説明書です。

7  被害者が刑事の弁護士をつけると言うことはあるでしょうか。

,<回答>

まず、私は被害者側の刑事代理人となった経験はありません。
但し、捜査段階で民事を依頼されてならば当然、刑事の相談もありますので、その相談に応じたり、上申書を被害者名義で作成したり、また公判に被害者とともに傍聴することはあります。つまり、民事弁護士として刑事にかかわっていくことになります。

以上は私の経験から述べていることで、勿論、被害者側刑事の代理人と言う存在も考えられます。しかしながら、多くの場合は私のように民事弁護士の依頼者に対する無料サービスとしてやっているのではないかと思います。

民事弁護士が刑事事件のサービスとして行うことは

・不起訴処分に対する審査申立書の作成、そのための証拠書類(実況見分調書、カルテ、診断書)の入手
刑事における不起訴処分は「過失相殺」と言う場面で民事に良からぬ影響があります。できるならば、不起訴処分を覆してから、損害賠償請求をすると言うのが理想です。審査申立書は被害者の名で作成しますが (高次脳機能障害の被害者では弁護士が代理人として作成する)、法律的なポイントを外さないため民事弁護士が作成すべきです。

・刑事裁判のエスコート
一般の方は刑事裁判では何をしているか分からない場合がありますので、被害者と一緒に傍聴をして、裁判終了後に説明をする、刑事記録の謄写を指示、意見陳述の指導 をする等が考えられます。

・刑事弁護人に対する働きかけに対する指導
見舞い金送付、債務額確定調停申立(Q16参照)、その他、刑事弁護人は加害者実刑を避けるため諸々の良い情状を作る努力をします。その対策を講ずることです。

なお、起訴前の活動も本当は大事なのですが、起訴前においては実況見分調書も供述調書も開示されないため、警察、検察が事案のどの部分に着目をしているのか不明です。そのため、被害者側弁護士がどのような活動をしたら良いか、分からないと言うのが実情です。
起訴前の加害者側弁護人は加害者と接見をして、捜査のポイントを把握することができますが、被害者側はそうした立場になく、起訴前における捜査機関への働きかけが困難です。刑事記録の早期開示が叫ばれる所以です。


8 警察の職務執行に不満があるのですが、どうしたら良いでしょか。

<回答>

人身事故であるにもかかわらず、人身として取り扱ってくれない、被害者であるにもかかわらず警官から加害者であると一方的に決めつけられた等々、警察の職務執行に不満のある場合、公安委員会に対して「警察職員の職務執行に対する苦情申出」制度を利用します。書式や何を書くかについては、各都道府県の公安委員会、ないし警察のホームページを参考にして下さい。 リンクのページには神奈川県警のホームページを貼ってあります。

 

9 事故で怪我をしましたが、警察に告訴することは必要なのでしょうか。

<回答>

告訴とは「犯罪により被害を蒙った者がその事実を申告し、犯人の処罰を求める」ことです。告訴が無い限り、警察が動かない犯罪もあります。親告罪と呼ばれているものですが、秘密漏洩罪、名誉毀損罪、器物損壊罪等です。自動車事故により負傷した場合は、親告罪ではありませんので、告訴の必要はありません。但し、警察が全く動かず、時効が迫っている(業務上過失傷害の時効は5年です)等の事情がありましたら、告訴すべきでしょうが極めて例外的な場合です。

なお、自転車事故は単なる、過失傷害であり親告罪ですので、告訴が必要です。

 

10 物損事故にあいましたが、加害者に誠意が無いので処罰したいと思いますが。

<回答>

私人が処罰をすることは禁止されているので、国家が加害者を処罰をすることがあり得るかとの意味と思います。国家が加害者を処罰するのは加害者が刑法上の犯罪を犯したことが必要です。それは被害者が負傷した時だけです。被害者が負傷したならば、刑事事件(刑法上の事件)となるのですが、負傷していなければ刑事事件とはなりません(交通事故では器物損壊罪も成り立ちません。)。従って、警察が実況見分をすることも被害者、加害者から供述を取ることもありません。また、刑法上の犯罪とならないのですから、加害者に刑事罰は下らないことになります。つまり、物損事故では加害者に誠意が無いからと言って刑事罰が下ることは無いのです。

<補足>
物損事故の加害者を器物損壊罪で訴えたいと言われる方がおられます。
これは出来ません。器物損壊罪は故意犯であり、交通事故は過失犯であるからです。
敢えて、赤信号を無視して、交差点に進入した者も、「車を損壊してやろう」との意図はないのが通常であり、器物損壊罪は成立しないことになります。

11 刑事裁判が進行中ですが、損保から示談交渉をしたいと言ってきています。どうしたら良いでしょうか。

<回答>

刑事裁判が進行中、加害者側から示談交渉をしたいと言ってくる場合があります。加害車両に任意保険が付保されていたならば、損保担当者あるいは損保側の弁護士からそうした話が出てきます。また、加害車両が任意無保険ならば刑事弁護人からそのような話が持ち出されます。

このような示談交渉は刑事裁判では「加害者の誠意」と評価され、刑を軽減する一つの理由となります。ですから、厳罰を求めるか寛大な刑を求めるかによって被害者、被害者遺族の対応は異なってくることになります。厳罰を求める場合は、刑事裁判が終了してから示談交渉をすると言うことになります。

刑事事件が長引いて事故から3年経過しそうになった場合には問題があります。自賠責保険への被害者請求の時効が3年(平成22年4月1日以降の事案)であるため、時効の問題が生ずるからです。
また、任意無保険の場合、刑事裁判進行中にたとえ、刑は軽くなっても、示談を成立させてしまうと言う現実的な選択も検討しなければなりません。任意無保険の加害者は刑事事件が終わってしまうと「金は出さない」と言う可能性があるからです。 任意無保険の加害者と示談する場合は、現金の受領と引き換えに示談書に署名する必要があります。いずれにしろ、被害者、被害者遺族が判断に迷う場面ですから、弁護士への相談が必要となります。

12 刑事の公判期日について連絡がありました。被害者としては何をすれば良いでしょうか。

<回答>

まず、裁判の傍聴です。既に民事で弁護士を依頼している場合は、民事の対策を練る上で弁護士にも連絡をし、一緒に傍聴したほうがベターです。
次に第1回期日が終了した時点で「公判記録」の謄写をします。理由は「損害賠償請求のため」と言うことにします。刑事記録を見て、加害者が何を言っているのか初めて分かりますので、意見陳述の際の参考とするのがそのねらいです。
公判記録の謄写のやり方は刑事裁判所の書記官に聞けば教えてくれます。
公判中に謄写申請をしなかった場合は、刑事事件確定後となってしまいますので、刑事記録の入手がかなり遅れることになります。ですから、公判中の謄写は民事裁判で早い段階から対策を練ると言う観点からも必要となってきます。

※刑事が正式裁判となった場合、厳罰を望むなら「裁判傍聴」「記録謄写」「意見陳述」をする、「見舞金受領」「示談交渉」「嘆願書作成」「自賠責保険被害者請求(但し、2年の時効に注意)」はしないと頭に入れておいて下さい。。

13 歩行中、自転車が衝突し、怪我をしました。警察から告訴をしますかと言われましたがこれはどのような意味があるのでしょうか。

<回答>

設問9でもすこしふれておりますが、交通事故の掲示板などで良く質問されております。
しかし、回答者が的確な回答をしていることは稀であるので、独立してとりあげました。

まず、刑法犯には「親告罪」と「非親告罪」があります。
「親告罪」とは被害者の告訴が起訴の条件となっている犯罪です。
自動車が加害車両の人身事故では「非親告罪」なので被害者は告訴が不要です。

一方、自転車が加害車両の傷害事故では「過失傷害罪」が成立します。これは「親告罪」ですので、警察は「告訴するか否か」を尋ねているのです。
告訴したならば警察は通常の刑事事件として取り扱い、実況見分等の捜査が行われることになります。告訴しないと言うことであれば通常の捜査は行われません。
但し、自転車事故でも死亡事故は「過失致死罪」であり、「親告罪」ではありません。
また、自転車に重過失があれば「重過失傷害罪」「重過失致死罪」であり、「親告罪」とはなりません。

自転車による傷害事故でも後遺障害の残りそうな事故であるならば、将来、事故状況をあいまいにさせないためにも「告訴」をしておいたほうが良いと言えるでしょう。

14 血中アルコール濃度と呼気中アルコール濃度の関係。ひき逃げをして1時間30分後にひき逃げ犯が逮捕され、その際の呼気中アルコール濃度が0.4mg/lであった場合、事故時の血中アルコール濃度はどの程度でしょうか。

<回答>

平成13年11月版「交通事故損害賠償必携」(新日本法規)179頁以下の資料5−43(アルコール医学からみた飲酒運転(抄)、 有斐閣「交通法研究18号」所収、古村節男)より引用します。

呼気中アルコール濃度:血中アルコール濃度=1:2000または1:2100
とされています。
呼気中アルコール濃度が0.4mg/lであった場合、血中アルコール濃度は
0.4mg/l:x=1:2000 
x=0.4mg/l×2000=800mg/1000ml=0.8mg/ml
となります。

日本人の場合、血中でアルコール濃度は1時間あたり平均0.16±0.04mg/mlつまり0.12〜0.2mg/ml下降するといわれている(なお、単位時間あたり下降する血中アルコール濃度はβ値と呼ばれ、人により異なるとされている)。
逮捕された場合の呼気中アルコール濃度が0.4mg/lならば血中アルコール濃度は0.8mg/ml
事故時は測定した時間よりも1時間30分(90分)前であるから、事故時の血中アルコール濃度は
0.8mg/ml+(0.12mg/ml〜0.2mg/ml)×90/60=0.98〜1.1mg/mlとなります。

15 刑事記録はどのようにして入手するのでしょうか

<回答>

民事訴訟提起後は文書送付嘱託申立てで全て可能です。
ここでは民事訴訟提起前について説明をします。

まず、いずれも刑事処分が出てから可能となります。

(1) 不起訴の場合
・「実況見分調書」につき被害者が閲覧、謄写申請できる。「供述調書」はできない。
・弁護士(被害者側、加害者側いずれも)が弁護士会照会によって「実況見分調書」を謄写できる。「供述調書」はできない。
・記録の保存期間があるので要注意。症状固定後に閲覧、謄写しようとしても出来ない場合がある。
・民事事件で重要な意味を持つ「供述調書」については民事訴訟提起後、文書送付嘱託によりできる場合があります。しかし、かなり条件が限定されており不可能な場合が殆ど 。事実上、できないと認識しておくべき。

(2) 起訴され公判手続中
・被害者、被害者遺族は犯罪被害者保護法3条によって裁判所に謄写申請ができる。
具体的には裁判が係属している部の書記官に謄写をしたいと申し出る。理由は損害賠償請求のためと言う。
なお、弁護士も被害者を代理して可能。

(3) 刑事裁判確定後
・閲覧、謄写申請は可能。検察庁に申請する。但し、確定後、謄写可能になるまで数ヶ月を要する場合がある。略式命令(罰金)の場合は確定後謄写と言う方法による。
・確定後謄写の場合は記録の保存期間があるので要注意。症状固定後に閲覧、謄写をしようとしても出来ない場合がある。

(4) 少年事件について
・少年法5条の2により被害者、被害者遺族は「審判開始決定があった後、保護事件の記録の閲覧、謄写申請ができる」
これは家庭裁判所に対してします。なお、保護事件を終局させる決定があってから3年経過した場合はできなくなります。

(5) 物損事故
・弁護士照会により警察署に対して物件事故報告書の謄写申請が可能です。
・これも保管期間があり、要注意。

16  現在、刑事裁判中ですが、示談交渉を拒否したところ、加害者の刑事弁護人から債務額確定の調停を申し立てられました。どのように対処したら良いでしょうか。

<回答>

被害者が厳罰を求めて、示談交渉を拒否したところ、加害者側から債務確認調停を申し立てられることがしばしばあります。
このような調停に被害者が出頭した場合、刑事裁判で刑事弁護人が「調停手続より加害者は示談交渉している」と弁論をします。何故なら、加害者が示談交渉をしていると言う事実は「加害者の誠意」と刑事裁判では評価され、刑を軽くする要因となるからです。

被害者が厳罰を求めるならば、調停を申し立てられても出頭しないことです。但し、無断で欠席すべきではなく、出頭しない理由を記載した答弁書を出しておく必要があります。

なお、調停ではなく、訴訟を提起されることもあります。訴訟の形式は「債務不存在確認訴訟」であり、内容は「支払うものは一切存在しない」あるいは「〜円を超えて支払うべきものは存在しない」と言うものです。
訴訟を提起された場合は、裁判所に出頭をする必要があります。調停ならば、被害者が出頭しなければ打ち切り(「不調」と言います)となるだけですが、訴訟では出頭をしないと欠席判決が下され、被害者敗訴となるからです。敗訴となれば、損害賠償の請求は不可能となります。

しかしながら、一般の方はそもそも、調停と訴訟の区別さえつかないと思います。ですから、加害者側から裁判所を通して何らかの書面が来た場合、弁護士への法律相談が不可欠です。

17  死亡事故の遺族ですが、意見陳述で加害者は飲酒していた可能性があると陳述したところ、裁判官から「それは争点になっていない」と言う理由で陳述を制限されました。これはどのようなことなのでしょうか。

<回答>

法廷が開かれる前に公判前整理手続が行わたためと考えられます。
刑事訴訟法が改正され、公判前整理手続は平成17年11月1日から導入されました。
公判前整理手続とは公判(法廷で開かれる刑事裁判)の審理を充実し、計画的、迅速に行うため、必要がある時、行われる事件の争点及び証拠の整理のための公判準備手続です。

要は裁判員制度が平成21年5月までに実施されるので、連日開廷ができるように公判前に争点と検察官、弁護人がやるべきことを決めてしまうと言う手続きです。
従って、例えば、公判準備手続で争点が「加害者が前方注意義務を怠っていたか否か」が争点とされた場合は、公判ではそれのみについて攻防が行われることになります。

被害者遺族が意見陳述で「加害者が飲酒していた可能性がある」と陳述した場合は争点とはなっていない事実を指摘したことになり、意見の陳述が制限されることになります。
勿論、被害者遺族が陳述しただけでは加害者の飲酒運転を証明したことにはなりません 。しかし、加害者弁護人も飲酒運転については争点外なので言及をしないので、被害者遺族の陳述が許されるとしたらその陳述のみが裁判で残ることになります。これは法律の素人である裁判員に影響を及ぼす可能性があるので陳述が制限されることになると考えられます。

現在の公判前準備手続は被害者が参加できないため、かなり問題があると言えます。

18 起訴前なのに加害者の国選弁護人から示談の申し入れがありました。起訴される前にも国選弁護人が加害者につくことはあるのでしょうか。

<回答>
以前は起訴された事件のみに国選弁護人がついておりましたが、H21.5.21以降からは起訴前から国選弁護人がつくことになりました。