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自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律


新法(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)は平成25年11月20日に国会で成立し、平成26年5月20日から施行されました。
重要な法改正ですのでポイントを整理をしたいと思います。

 刑法から新法の過失運転致死傷罪となった 
新法5条の「過失運転致死傷罪」は従来は刑法の「自動車運転致死傷罪」として規定されていました。それ以前は「業務上過失致死傷罪」が適用されていました。
つまり、刑法「業務上過失致死傷罪」→刑法「自動車運転致死傷罪」→新法「過失運転致死傷罪」と変遷をしたことになります。

業務上過失運転致死傷罪の刑は「5年以下の懲役もしくは禁錮又は100万円以下の罰金」でしたが、「自動車運転過失致死傷罪」は「7年以下の懲役もしくは禁錮又は100万円以下の罰金」と重くなりました(改正は平成19年6月12日施行)。
今回、新法に移されましたが刑は同じです。

 危険運転致死傷罪が刑法から新法(2条)に移され、一類型を追加 
刑法の「危険運転致死傷罪」は以下の内容でした。
次の掲げる行為により、人を死傷させた場合は本条が適用されます。
・アルコール又は薬物の影響により、正常な運転が困難な状況で自動車を走行させる行為
・進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
・人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転させる行為
・赤信号等をことさら無視し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

上記の刑法に規定されていた危険運転致死傷罪の対象は以前、「四輪以上の自動車」であったのですが、「自動車」となり、自動二輪車や原付自転車も対象に含まれるようになりました(平成19年6月12日施行)。

上記の刑法の「危険運転致死傷罪」は新法に移されました。

また、新法で次の行為が追加されたました。
・通行禁止道路を進行し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

刑は致死が「1年以上の懲役(最高20年)」、致傷が「15年以下の懲役」です。
刑法の「危険運転致死傷罪」と同じです。

 新法(3条)で新設の危険運転致死傷罪 
アルコール又は薬物の若しくは運転の支障を及ぼすおそれのある病気の影響により、正常な運転に支障が生じるおそれのある状態で自動車を運転し、よって正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた場合

2条の危険運転致死傷罪とどこが異なるのか疑問に思う方もおられるはずですが、太字で示した通り、「おそれ」が加わっている点が注目すべきです。
例えば、飲酒運転ならば、アルコール血中濃度等が2条よりも低い状態を想定していると思われます。

刑は致死の場合は「15年以下の懲役」、致傷の場合は「12年以下の懲役」であり、2条の刑よりも軽くなっています。

 新法(4条)で過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪を新設 
アルコール又は薬物の若しくは運転の支障が生ずるおそれのある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、人を死傷させ、その時のアルコール又は薬物の影響の発覚を免れる行為をした場合

例えば、更に飲酒したり、現場を去ってアルコール血中濃度を下げてから警察に出頭するような場合です。

この罪が成立するのはひき逃げの場合が多いでしょう。
ひき逃げをした場合は「懲役10年以下」ですから、本罪も犯したならば両者の併合罪となり、最高18年の懲役刑となります。

 新法(6条)で無免許運転による刑の加重を新設 
無免許の場合は上記の刑が以下の通りに加重されます。
・15年以下の懲役→6月以上20年以下の懲役
・12年以下の懲役→15年以下の懲役
・7年以下の懲役→10年以下の懲役