人身 パート1

 

Q1
私は車を運転して信号機のある交差点を青で直進中、対向車線から右折してきた車と衝突しました。加害者側保険会社が私にも過失があると言っていますが、納得できません。交差点では直進車優先である筈なのに何故、私に過失があるのでしょうか。

A1
これは過失相殺の問題です。交通事故においては多くの事案で被害者にも過失があることが多いのですが、被害者はその心情から事故の過失を認めることがなかなか出来ないので、加害者側との交渉を難航させる要因となります。

あなたのおっしゃる通り、道路交通法37条では「車両は交差点を右折する場合は直進車の走行を害してはならない」と規定され、これは直進車が優先であることを意味しています。それではあなたに過失がないのかと言うことになると必ずしもそうとは言えないのです。過失は道路交通法で決まるものでは無く、民法によって決まるからです。道交法上の違反の有無と民事上の過失は別次元の問題と良いでしょう。

それでは民法はどのような基準で被害者側の過失の有無を判断するかと言うと「もっと良く、注意をしていたならば事故を避けることが出来たか」と言う基準です。
また、過失相殺の割合については過去に数多くの判例実務があり、それに基づいて、ある程度の目安が出来ています。その目安を知るには「判例タイムズ社、民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」と言う本があり(以下「認定基準」と呼びます)、様々な事故態様についての過失割合を掲げています。保険会社の実務は概ね「認定基準」によっています。また、裁判実務上も「認定基準」から大きくかけ離れることはありません。

ところで、あなたが遭われた事故は交差点での直進車対右折車の事故ですが、その態様では上記の「認定基準」によるとあなたにも原則として過失があることになります。しかしながら、事故と言うのは一つ一つ異なるものです。直進車対右折車と言う類型には無数のバリエーションがありますので、自分の事故が類型に当てはまるからと言って、その類型の過失割合を鵜呑みにすることは禁物です。あなたが、自分に過失が無い主張をしたいならば「自分がどんなに注意をしていても事故を避けることが出来なかった」と証明すべきでしょう。

 

Q2
Q1の事故態様(信号機のある交差点での直進車対右折車の事故、信号は双方とも青)では私にも2割の過失があると事故に詳しい人から聞きました。 しかし、保険会社の担当者は私にも4割の過失があると言っております。どちらが正しいのでしょうか。

A2
「認定基準」(Q1参照)を見ますとQ1の事故態様では「基本割合」が掲げられていますがは直進車2割、右折車8割です。しかしながら、「認定基準」には多くの修正要素があます。例えば、制限速度40キロの道路であなたの車両の速度が55キロ以上(15キロ制限速度違反)なら、1割あなたに不利に修正をし、また、70キロ以上なら(30キロ制限速度違反)なら2割あなたに不利に修正をします。

従って、あなたの過失が4割と言うこともあり得るのです。過失相殺については基本割合に対する修正要素が多数あり、それらを考慮すると基本割合から大きく外れると言うことも珍しくありません。保険会社の担当者に対してはどのような根拠であなたの過失が4割であるか尋ね、納得が行かないなら、反論をしましょう。
 

 

Q3
Q1の事故で保険会社が私にも4割の過失があると言っていますが。それには納得がいかないので詳しい事故状況の図面を保険会社に提出したいと思います。どのような資料を提出したら良いでしょうか。

A3
事故状況の図面はあなた自ら作成すると言う方法が最も簡単ですが、意図的に自分に有利に作成したのではないかと疑われます。その点で最も信頼性のある図面は警察が作成する図面です。人身事故が発生すると警察は通常、事故状況を明らかにするため図面を作成します。その図面及び当事者の指示説明を調書化したものは「実況見分調書」と呼ばれています。また、警察及び検察庁は被害者、加害者から供述をとり、供述調書を作成してます。このような「実況見分調書」「供述調書」が事故状況を明らかにするために最良の資料です。
 
しばしば被害者の方でQ1で説明した「認定基準」を振りかざし、「基本割合がどうの」「修正割合がどうの」と言っている方を見受けますが、肝心の実況見分調書も入手していない場合が殆どです。過失相殺が問題になる場合、「基準」も大切ですが、「基準」を使う前提として事故状況を明らかにする上記の資料が不可欠であることを心して下さい。

 

 

Q4
「実況見分調書」と「供述調書」を見せて欲しいと警察署に言いに行きましたが、見せられないと言われました。どのようにして入手すれば良いのでしょうか。

A4
交通事故で被害者が負傷しますと、加害者には業務上過失傷害の罪が成立します。また、被害者が死亡しますと加害者には業務上過失致死の罪が成立します。
警察は民事上の問題を解決するために「実況見分調書」や「供述調書」を作成するのでは無く、そうした刑事上の犯罪の証拠を固めるため、つまり、捜査の一環として「実況見分調書」や「供述調書」を含めた様々な記録(「刑事記録」と言います)を作成するのです。

警察の捜査が終了しますと、刑事記録は検察庁に送られます。これを「送致」と言います。次に、検察庁では加害者を起訴するか否かを決め、起訴することになった場合は検察官が正式な裁判か略式命令(罰金刑)を請求します。起訴しない場合は不起訴とします。

ところで、刑事記録を閲覧謄写出来るようになるのは起訴されたなら、裁判や略式命令の場合は判決が確定してから、また、起訴されない場合は不起訴となってからです。また、刑事記録の閲覧謄写は警察に請求するのでは無く、検察庁に請求します。但し、不起訴となった場合は刑事記録は非公開ですので弁護士照会に依らなければなりません (但し、被害者は謄写申請ができます)。弁護士照会とは弁護士が弁護士会を通じて、検察庁に刑事記録の取り寄せをするものです。また、取り寄せることの出来る記録は「実況見分調書」のみで「供述調書」は取り寄せられません。

以上より、あなたが刑事記録を入手するにはまず警察に検察庁に事件を「送致」したか否か問い合わせをするのが最初の作業です。
「送致した」と言うことであれば、送致先検察庁、及び検察庁が事件を識別するためにつける番号、「検番」を聞く必要があります。
送致されているならば、検察庁に処分が出たか(起訴したか不起訴になったか)を問い合わせます。
その際検番や被疑者名(加害者名)、罪名(業務上過失傷害あるいは業務上過失致死)等により、事件を特定する必要があります。事件が起訴されている場合は裁判が確定しているか否かを聞き、また、不起訴であるならば弁護士照会による方法を考えることになります。  

<補足説明>
「犯罪者等の保護を図るための刑事手続きに付随する措置に関する法律」では刑事裁判の第1回公判期日が開かれた後、終結までの間、刑事記録の謄写申請が出来きます。刑事事件が確定していなくても謄写ができる例外です。死亡事故で刑事裁判が行われる場合は公判期日が開始されたら、まず謄写申請をすべきです。

 

 

Q5
私は交差点を青信号で進入して交差点内を直進しておりましたが、右側の道路から赤信号で交差点に進入してきた加害車両と衝突しました。しかし、事故後、加害車両の運転者は自分が青で、私が赤だったと主張しており、加害者は自分に責任は無いと言い張っています。また、加害者側の保険会社も全く動こうとしません。どうしたら良いでしょうか。  

A5
まず、Q4で説明しましたように、刑事記録を取り寄せます。そこで、加害者が「赤信号で交差点に進入した」と指示説明あるいは供述していれば、あなたが「青信号で交差点に進入した」ことの証明ができたことになります(これは加害者が事故後、「青」だったと言い分を変えた場合です)。

ですが、このようなことは滅多にありません。多くの場合、刑事記録には双方とも青信号で交差点に進入したと記載されています。つまり、双方の言い分を併記してしているのです。しかし、刑事記録中には目撃者の指示説明による実況見分調書が存在することもあり、それが決定的な証拠となる場合もあります。

また、あなたと相手方の言い分が併記されているだけの場合でも刑事記録を分析することで相手方の言い分の不自然さをあぶり出すことが出来る場合もあります。
加害者側の主張が不自然だと立証できれば民事裁判では極めて有効です。民事裁判では決定的な証拠が無くても、裁判官に「7割程度は確からしい」と思わせる程度に証明できれば良いからです。「疑わしきは罰せず」と言う刑事裁判とは大きく違っています。
 
なお、双方、青主張の場合のように被害者と加害者で事故態様についての主張が大きく異なる場合、示談での解決は難しいと言えます。訴訟を提起するか、調停を申し立てるかして解決しなければなりません。
また、ご質問の場合、加害者側の保険会社が動かないのは当然です。保険会社は損害賠償を被害者に支払うのが本来の仕事ですが、加害者が「青信号で交差点に進入した」と言っている以上、保険会社は被害者に対して支払うべきものが無いと言う立場を取らざるを得ないのですから、保険会社としては動くことが出来ないのです。

なお、Q6も参考にして下さい。

 

Q6
私は交通事故で負傷をし、会社を休んでいますが、給料の支払いもストップしております。事故状況はQ5の通りですが、加害者は「自分も青で交差点に入った」と言っており、保険会社から治療費も休業損害も支払われておりません。最終的には裁判をしたいと思いますが、このままでは生活が出来ないので、当面、どのようにしたら良いでしょうか。         

A6
加害者の自賠責保険を使うと言う方法が考えられます。
自賠責保険の請求方法としては加害者が請求する方法と被害者が請求する方法があります。それぞれ、加害者請求、被害者請求と呼ばれております。加害者請求は加害者が被害者への損害賠償を済ませた後、加害者が自賠責保険会社に支払った額を請求をすると言う方法です。

これに対して、被害者請求は被害者が直接、自賠責保険に保険金の請求をすると言う方法です。被害者請求は被害者の過失が大きい時、事故状況について、被害者の言い分と加害者の言い分との間に大きな食い違いがある場合に利用されます。

自賠責保険の被害者請求する場合、あなたは加害者に過失があること(つまり、赤信号で加害者が交差点に進入したこと)を証明しなくても構いません。加害者が「無過失」を立証しない限り、自賠責保険は使えるのです。被害者も加害者も自分が青信号で交差点に進入したと主張している場合、事実関係が明確になってはいないのですから、加害者が「無過失を立証出来た」とは言えません。従って、自賠責保険は使えます。
但し、自賠責保険の額は限定されており、症状固定(後述)までの間については120万円が上限です。
後遺障害が認定された場合は、その後遺障害に該当する保険金額の上限が定められており、その範囲内での保険金請求が出来ることになります。

もう一つの方法としては仮払いの仮処分があります。これは日常生活をしていく上で、最少限の生活費を裁判所を通じて加害者に請求するものです。裁判所に立てをしてから、2週間位で裁判所の決定が出ますので、裁判とは言え、迅速に結論がでます。あなたの言い分が認められたならば裁判所は「○か月間(大抵、3ヶ月〜6ヶ月)月々○円を支払え」と言う決定が下り、認められなかった場合は「却下」の決定がおります。いずれにしても裁判ですから、弁護士に依頼しないと難しい手続きです。      

<補足説明>
このように事故状況につき、言い分が食い違っている場合
自賠責保険の被害者請求をする、自分の車両に人身傷害保険をつけているならそれを使う、治療には健保・国保を使う、労災が使えるなら使う
ことになります。
双方が軽傷の場合、双方が自賠責保険の被害者請求をして、解決するのがベターです。
いずれかが重傷の場合は解決は極めて難しいものとなります。

 

Q7
わたしは交通事故に遭い、治療を続けており、治療費も保険会社が直接、病院に支払っていました。ところが、この度、保険会社担当者から「あなたの症状は固定したので治療費は支払えない」と言われました。まだ、怪我が直っていないのに保険会社は何故、治療費を支払ってくれないのでしょうか。

A7
「症状固定」とは投薬や理学療法でも症状が一時的にしか改善しない状態です。治った状態の「治癒」とは異なります。
「症状固定」とは要するに傷病の本態が治療をしてもそれ以上良くなると言うことは無い状態です。また「固定」と言う言葉を使っておりますが、誤解を招くことがあります。例えば、冒頭で定義したように理学療法や投薬で一時的に症状が楽になる状態も「固定」と言えるからです。また、気候や季節によって症状に波があるに過ぎない場合も「症状固定」に至ったと言える場合です。
従って、あなたが怪我が治っていないと感じていても「症状固定」と言える状態となっている場合もあるのです。

しかし、症状が「固定」したか否かは本来は医師が判断することです。保険会社の担当者があなたの症状は固定したと言っても、医師に「本当にそうなのか」と確認する必要があります。但し、医師の中には「症状固定」の意味を理解しておらず、患者が通院してくるので治療を拒めないと言う理由だけで、延々と治療を続ける者も稀におりますので、注意が必要です。

「症状固定」となった場合は加害者は治療費の支払い義務が無くなります。何故なら、症状固定後の治療は、一時的に症状が楽になるだけで、本質的な治療効果が無いからです。

なお、症状固定後は通院が出来ないと言う誤った知識を持つ方がおりますが、決してそのようなことはありません。通院を続けたい場合は国保や健保を使い、治療費を自己負担して続けることが可能です。加害者に治療費を負担する義務が無いと言うことと 通院を継続出来るかと言うことは別の問題です。

症状固定後は治療費だけでなく休業損害や通院費も請求が出来なくなります。
しかし、症状が固定した段階では後遺障害の認定が受けられるようになり、その結果、後遺症が認定されたら後遺障害慰謝料と逸失利益が請求できます。

 

Q8
保険会社の担当者からも医師からも症状固定となったと言われました。今後は全く事故による補償は請求できないのでしょうか。また、後遺症が認定され、保険会社から示談案が提示されましたが、どのようにしたら良いでしょうか。

A8
1 症状固定後の損害について

症状固定以降は「後遺障害」が認定されれば後遺障害損害を請求することが出来ます。 それにはまず、医師に「後遺障害診断書」を作成して貰います。それを加害者側の保険会社に持って行き、後遺障害の認定をして貰うことになります。
後遺障害は損害保険料率算出機構(旧自算会)が認定をします。

認定の基準は1級から14級まであり、1級が一番重く、14級が一番軽い後遺障害です。後遺障害に当たらない場合、つまり14級に満たない場合は「非該当」と言われます。
後遺障害の等級が認定されたら、その等級に応じた後遺症損害を請求することが出来ます。大ざっぱに言って、後遺症慰謝料と逸失利益です。
後遺症慰謝料は症状固定までの慰謝料と別個の慰謝料です。
逸失利益とは後遺障害により失った労働能力を埋め合わせる損害です。事故で働くことが出来なくなり、収入が減少した場合は、症状固定までは休業損害となりますが、症状固定以後は逸失利益利益となります。それぞれ算定の方法に大きな違いがあります。

2 後遺症が生じた場合、保険会社から示談案が提示された場合の対応

後遺障害が認定された場合は損害の算定が難しくなります。交通事故の損害賠償論は膨大な判例が存在する分野ですが特に、後遺症についての判例は極めて多く、類似の事案の判例を調査することが必須です。
何れにしろ、素人が保険会社の算定の適否を判断するのは危険です。
そうした点から後遺症が認定された場合は保険会社とのトラブルが発生していなくても弁護士による法律相談をすることをお勧めします。
 

 

Q9
後遺障害が「非該当」と認定されたので、保険会社が後遺障害損害は一切支払えないと言っております。しかし、まだ、症状が残っており、「非該当」の認定には納得が出来ません。どうしたら良いでしょうか。
また、異義申立の具体例がありましたら、教えてください。  

A9
まず、損害保険料率算出機構に対する「異議申立」が考えられます。一度出た「非該当」の決定を再検討して貰うのです。この場合、従来と同じ資料では同じ結果しか出ませんから、新たな資料を提出する必要があります。例えば、医師に意見書を作成して貰うのも一つの方法です。
また、裁判で争う方法もあります。裁判所は損害保険料率算出機構の認定を参考としますが、その認定には拘束されることなく、独自の判断をすることができるのです。
何れにしろ、「非該当」の認定が下ってしまえば、保険会社としては後遺症損害の払いよう
ありませんから、被害者としては何らかの行動をとる必要があります。  

異義申立の具体例
1 後遺障害等級に不服がある場合、異義申立をするのですが、経験に照らしても中々、うまく行かないと言うのが実際のところです。少ない成功例の中の一つを紹介したいと思います。

2 被害者が自転車運転中、車が衝突、左腸骨骨折の傷害を負い、約2ヶ月の入院をし、その後、通院、事故から約1年後に症状が固定しました。
後遺障害診断書には
(1)頸椎捻挫により右上肢の痺れ、だるさ
(2)左股関節の可動域制限
(3)骨盤周辺の痛み
が記載されておりました。
しかし、NIROは(3)のみを認定し、「局部に神経症状が残るもの」として14級9号を認定しました。
(1)の後遺障害を否定した理由は「事故後3ヶ月以上経過して訴えたので、因果関係がない」
(2)の後遺障害を否定した理由は「左股関節可動域制限の原因となる傷病名および障害に関わる骨傷等の器質的損傷は認められない」
と言うことでした。

3 (1)については被害者はかなり入院中の早い段階から医師や看護師に訴えていたということでしたので、弁護士照会によりカルテを取り寄せました。
入院中のカルテには症状が記載されていませんでした。これは左腸骨骨折が重篤であったため、そちらのほうの症状のみが記載されていたからです。
しかしながら、通院中のカルテを取り寄せましたら、「入院中から右上肢の症状を訴えていた」との記載があり、それを異義申立の資料をして提出することにしました。

(2)については、骨折部位の左腸骨と左股関節は部位が近接しており、医学の素人が考えても左股関節可動域制限は事故によるものだと感じました。そのことを証明するため、病院に弁護士会を通じての照会をすることにしました。
照会内容は以下の通りです。
<1> 後遺障害診断書には左腸骨骨折と記載されておりますが、どの部位が骨折したか別紙図面に図示をお願い致します(解剖図を添付する)。
<2> 左股関節可動域制限は左腸骨骨折と関連があるでしょうか。
<3> 「ある」と言うことであれば、どのような理由により左股関節可動域制限が生じているかご教示下さい。また、図示が可能ならば図面に解説文等を記入して図示して頂ければ幸いです。
<4> 自賠責保険は「左股関節可動域制限の原因となる傷病名および障害に関わる骨傷等の器質的損傷は認められない」との理由で左股関節可動域制限を交通事故による後遺障害として認定しなかったのですが、これについてのご意見をお知らせ下さい。

この照会に対して、医師からかなり詳細な回答がきましたので、それを異義申立の添付資料としました。

4 後遺障害認定手続きは被害者が事前認定でやっていましたが、被害者請求で異義申立をし、その結果、認定は以下の通りとなりました。
(1)については12級13号
(2)については12級7号
それ以外、骨盤骨の変形が12級5号
で併合11級

5 異義申立ての中には被害者本人がやって成功している例もあります。主治医が必要な検査をしていなかったり、後遺障害診断書の記載が不十分な場合です。このような場合、他院で検査をしたり、追加の診断書を出して、成功します。しかし、紹介例のように中には弁護士の力を借りなければ、成功しないものもあります。 

Q10
わたしは自営業者ですが、確定申告上の収入は年間200万円です。勿論、この収入では生活が出来ません。実際の収入は600万円程度ですが、税金を支払いたくないので過少申告をしているのです。ところが、保険会社は休業損害を年収200万円で算定してきました。これは納得が出来ません。どのようにすれば良いでしょうか。

A10
保険会社は確定申告に基づき、休業損害を算定するのが通常の方法です。あなたに実際はもっと収入が収があったのだと言う立証資料があったとしても、一度、年収200万円で申告した以上それが本当に真実のものか保険会社としては当然、疑問を持ちます。
あなたが立証資料を提出して保険会社がそれを認めてくれたならばそれで良いのですが、保険会社は通常、認め ません。また、しばしば、申告している収入では家族が暮らしていけないではないか、と言う言い方を被害者がされますが、そうした論理は通用しないと心得るべきです。

そのような場合は訴訟によるしか無いのですが、結局は裁判上、立証が成功するか否かにかかっています。しかし、この問題については裁判所は被害者にはかなり厳しい立証を要求しております。税金を払うと言う場面では収入を低く主張し、損害賠償を請求すると言う場面では収入を高く主張すると言うことは信義則上、問題があるからです。
従いまして、訴訟を提起するにしてもあなたの言い分が認めらるのは大変、難しいと言えます。